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日本の会社を退職して、 アメリカの専門学校で第二の人生をスタート
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随筆「渡米を2週間前に控えて」
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F・シュウジ (京都市・32歳)
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  かつての僕は、黒船が来る以前の日本人と同じような発想をもった、いわばアナクロな人間であった。
 僕にとって世界とは僕の手の届く範囲だったし、いろんなことを知っていると言ってもそれはテレビやネットで見聞きしたものにすぎない。頭ばかりが異様にでかくなり、妙な考え方で凝り固まっていたのだと思う。
 そんなとき、僕はアメリカへ行く機会を得て、いやおうなしに英会話を習わねばならなくなった。そのとき、いろいろな英会話学校を探したのだが、いまいちピンと来るものがなく、どうしたものかと考えているときに、ネットサーフィンをしていたら、ツジイ・イングリッシュ・スクールという学校を発見した。
 正直言うと、最初は月謝制だというところに惹かれたというところもあるが体験レッスンを受けたとき、これはいけるんじゃないかなと思うようになった。そのとき初めてお会いさせていただいた人、その人こそ、スクール代表者の辻井升雲先生であり、彼と知り合えたことを僕はとても感謝している。
 彼は、僕から見ればとんでもない秀才だ。そんな秀才が、こんな僕のような馬鹿と話をしてくれてたのか、よくわからない。もちろん英会話学校の先生と生徒という間柄ではあったのだが・・・ 彼は海外生活が長いせいか、いまどき珍しく、日本の事を愛している。それは、彼が文化人類学や言語学が専門で、外国から日本を見ていたことも影響しているのかもしれないが、僕はこういう人をとてもすばらしいと思う。
 今、僕はアメリカへの引越しを2週間後に控え、正直なところとても怖い。生活にまつわるさまざまな事柄、たとえば、食事、言葉や習慣、その他もろもろ。 それに、やはり何が一番怖いかと言うと僕は紛れもなく日本人で、アメリカでは圧倒的なマイノリティであることだ。
 僕はアメリカで成功したい。外国人である僕が、競争社会で彼らと対等に渡り合っていけるのか?と思うと、とても怖くなる。奇麗事で、人間みな平等などといっても、アメリカはやはり強烈な競争社会であって、それは実際に暮らしてみないことには、決して実感できない。 文化的ギャップに加えて、深刻な場合は人種差別にも直面する移民や留学生も少なくないらしい。
 でも、升雲先生は、そういうことを包み隠さず、欧米社会の良いところも、そうでないところも僕に教えてくださったと思う。英語の指導だけではなく、異文化間コミュニケーションに関する僕の疑問に全て答えてくださった。普通の英会話学校なら、ありえないことである。
 普通の英会話学校なら、散々生徒をたきつけて、まかり間違えば自分が白人になったのではないかという錯覚すら与えるようなところもある。しかし、いくら英語がうまくなろうとも、いくら向こうの生活に順応しているように見えても、うわべだけの西洋カブレは欧米では決して相手にされない。結局重要なのは、その人の持つ人柄や品格、ぐらつかないアイデンティティが必要で、全人格で勝負できる人でなければ、欧米社会では大成しない。升雲先生は、そういう当たり前のようだけど見失いがちなことを、きちんと僕に気付かせて下さったのだ。
 そして、忘れてはいけない人物がもう一人いる。ビル・レッキー先生である。ツジイ・イングリッシュ・スクールに入って、僕はこの人のクラスになった。はじめてお会いしたときは、迫力のあるルックスに少しビビッた。しかし、彼のレッスンスタイルはとてもわかりやすく、まがいなりにも、日常会話程度ならこなせるようになったのも、彼がいたからである。
 さらに、ビル先生には、アメリカの専門学校に入学するに当たって、一番肝心なところで助けていただいている。入学願書を書くときに、最初から最後まで、ビル先生に面倒を見てもらった。僕が苦心して書いた、英文の入学志望理由のエッセイの原稿を、ビル先生は見事に真っ赤にしてくれた。でも、普通の英会話学校で、そこまでしてくれる先生がいるだろうか?
 彼がいなければ、今の僕はない。
 それに、ビル先生は日本人以上に、日本のことを知っているように思う。なぜなら、ビル先生の日本語の敬語は完璧で、そこらにいる日本人よりも、美しい日本語を話されるのである。僕は、恥ずかしくなった。日本人である僕らが、外国の人よりも、下種な言葉を使って話している。それに、目上の人にきちんとした敬語すら使えないでいる。そういうことをわからせてくれたのも、他でもない、ビル先生だった。
 僕の頭の中は、彼ら二人のおかげで、黒船以降、明治時代ぐらいには進めたかもしれない。
 僕は最近、こんな風に考えている。神道には、八咫鏡(ヤタノカガミ) 草薙の剣(クサナギノツルギ)八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)というものがある。それぞれを、僕はこの二人から拝領したような気がするのだ。
 升雲先生は、草薙の剣を。自分の描いた夢やアイデンティティを常に意識し、海外でも最後までベストを尽くして、自分の道を切り開けと教えて下さいました。彼に与えてもらった自信、それは僕にとっては草薙の剣のようなものです。
 ビル先生には、八咫鏡を。外国の人を見て自分はどうなのか、ビル先生は僕にとってはまさしく鏡のような存在でした。日本人として、自分の恥ずかしいところを、わからせてくれたのは、ビル先生です。自分のことを冷静に見つめる目、それは僕にとっての八咫鏡です。
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 そして、二人が揃って、八坂瓊勾玉を。人は、努力しだいで幾らでも成長できることを二人は教えてくれました。いくらきれいな宝石も、磨かねば光りません。勾玉をもらったというよりは、磨くことを、教えてくださったというのほうが自然かもしれませんが。
 アメリカには、この三つをもって行こうと思っています。
 出発まで、もうすぐです。
 がんばってきます。

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